高齢者の労働力

2016年05月22日 01:45

 

先日、ランチで入ったお店で、ご高齢の方が生き生き働いていらっしゃいました。

落ち着きのある優しい笑顔に、こころがほっこり安らいで、つい長居をしてしまいました。

 

少子高齢化が急速に進む日本では、働くことのできるすべての人の就労促進を図り、「全員参加型社会」の実現が求められています。

特に労働意欲の高い高齢者がその能力を発揮し、働き続けることのできる環境整備は不可欠となっています。

 

遡れば、2007年(平成19年)から本格化した「団塊の世代」の定年退職による労働力の減少や技術の継承の断絶などの様々な問題が懸念されてきました。

これが、いわゆる「2007年問題」です。

 

平成16年6月、「高年齢者雇用安定法」が改正され、65歳未満の定年を定めている事業主に対して

〇「定年の引き上げ」

〇「継続雇用制度の導入」

〇「定年制の廃止」

いずれかの措置を義務づけました。(平成18年4月施行)

 

さらに平成24年8月には次のような改正がされています。(平成25年4月施行)

〇継続雇用制度の対象者を限定できる仕組みの廃止

〇継続雇用制度の対象者を雇用する企業の範囲の拡大

〇高年齢者雇用確保措置の実施及び運用に関する指針の策定

〇義務違反の企業に対する公表規定の導入

 

この改正は、高年齢者のさらなる雇用確保の充実と、年金支給開始年齢引き上げにより、60歳定年後、継続雇用されず無年金・無収入となる者が生じることから、年金支給と雇用の接続を図る目的があります。

 

 

厚生労働省発表の「平成27年高年齢者の雇用状況」集計結果によると

高年齢者雇用確保措置を「実施済み」の企業の割合は99.2%

中小企業 99.1%

大企業 99.9%

 

希望者全員が65歳以上まで働ける企業は72.5%

中小企業 74.8%

大企業 52.7%

70歳以上まで働ける企業は20.1%

中小企業 21.0%

大企業 12.7%

 

過去1年間(平成 26 年6月1日から平成 27 年5月 31 日)の 60 歳定年企業における定年到達者のうち

継続雇用された人は82.1%

継続雇用を希望しない定年退職者は17.7%

継続雇用を希望したが継続雇用されなかった人は0.2%

 

(平成27年6月1日現在)

<集計対象> 全国の常時雇用する労働者が 31 人以上の企業

 

 

「高年齢者雇用安定法」が改正され、継続雇用制度の導入が進み、多くの企業では、高齢者の多様な働き方の実現に取り組んでいます。

今後ますます増える高齢者の労働力は、私達を勇気づけ、日本を支える底力となっていくのかもしれません。

 

 

 

カウンセラー 大塚 恵久

 

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